所沢市の育休退園問題は誰が悪い?クレームの本質を考えればわかる。

  2020.05.15

幼稚園・保育園

所沢市の育休退園問題は誰が悪い?クレームの本質を考えればわかる。

所沢市の育休退園問題

所沢市の育休退園の問題についてです。

このブログは幼稚園や保育園の先生や育児中のお母さんに向けたブログです。なので、育休退園の問題のことを書くのはどうなのかなとも思いますが、幼稚園や保育園にもクレームがあります。

所沢市もクレームが寄せられたわけですから、この問題をもとに、なぜ、クレームが出るのか、クレームの原因や対策などを考えたいと思います。

事件の経緯

所沢市が今年の4月から制度を新設し、2人目のお子さんが生まれた保護者が育休を取る場合には、上の子も保育園に預けることができなくなるとしました。これが発端ですね。

そして、実際に制度の対象になった保護者が怒ってしまいます。なぜ、怒るのか、それは、育児中はいいとしても、いずれ育休が終わったときに、再度保育園に戻ることができないから。できるかもしれないけど、その保証はない。だから怒ります。

これに対して所沢市は、他に保育園に預けることができていない、いわゆる待機児童もいるわけだからと言い訳します。さらにネット上では、育休退園に反対している親への批判が多く見られます。

これが育休退園の問題で、今後どうなるのかはわかりませんが、ここでは、なぜこのような事態になったのかを考えてみたいと思います。

なぜ育休退園制度は失敗したのか

その前に、どうしてクレームが出るのかが大事ですね。

所沢市の育休退園制度って間違っているでしょうか。私から見ると、市は当たり前のことを言っている気がしてなりません。

下の子の育児のために親が家にいるんだから、上の子を見るのも当然でしょう。働きたいけど、保育園が見つからずに困っている人に譲るべきでしょう。所沢市の言い分は正しいですよね。

ネット上での批判でも、この親はわがままだという意見が多く見られます。

ところが納得がいかないお母さん。そしてクレームです。

ここからわかることが1つあります。それが大事なこと。

クレームは、何も悪いことがなくても出てきます。正しいことをやっていても出てくるものなんです。幼稚園や保育園に置き換えると、園や先生が正しい保育を行っていてもクレームが出る可能性はあります。

なぜクレームが出るのか

多くは、自分の立場が不利になったり、損をする場合にクレームを発します。他の人に比べて損していると思ったら、納得がいかない。だから文句を言う。

所沢市の場合は、ちょっと違いますね。他の人よりはたぶん得をしているんです。周りには待機児童がいる中で、この家庭では少なくとも今は預けることができていて、二人目を授かった幸せな家庭です。

でも損を感じた。何に?

そうなんです。将来に損を感じたんですね。現在と将来を比べて、将来が今よりも不利になるとわかったからクレームをつけたのです。

ネットでの批判も損から始まっている

もう一点、この親を批判する人達はどういう人でしょうか。

きっと、この当事者である保護者よりも不利にある人。ニュースを見て自分の方が損をしていると思った人。だから声を上げようとするんですね。クレームと同じ原理です。

つまり、人は何かによって損をしているなと感じたら、その何かにクレームを言うんです。

この行動がいいとか悪いとかじゃなくて、人として当たり前の行動だと思います。

結局、何が問題だったのか

当たり前の行動だからこそ、私は、この所沢市の保護者が悪いとも思わないんです。

どちらかと言うと、所沢市のやり方に問題があったと思うんですよね。さっきと矛盾して聞こえるかもしれませんが、所沢市の考え方に間違いはないし、育休退園の制度もあっていいと思う。

でも、その制度の作り方が甘かったんじゃないかと思います。

渦中にあるお母さんが所沢市に文句を言ったとき、どう答えられるでしょうか。「制度なので仕方ない」とか、「ルールだから」とか、そんな答え方しかできないんじゃないかと思います。もう選択の余地はなく、育休するなら退園。それしかない。これだと間違いなく、説明を聞いた人の怒りを買いますよね。

ここが所沢市の問題だったと思います。

クレームが出ない方法はあった

クレームが出ないやり方はあったはずです。つまり、損だと感じさせない方法。

それは、相手に選択肢を与えることだったのではないかと思います。「制度だから」で片付けずに、育休が終わったときに戻れることは戻れるんですが…と説明できればよかった。

道を完全に閉ざすのではなくて、抜け道を用意するべきで、あわせてその代わりのデメリットを用意するべきでした。

「こんなデメリットもあるんですが、それでもよければ例外で可能です」というような説明をするとどうでしょう。

相手は考えます。

デメリットを受け入れてまで制度に反発して押し通した方がいいのか、それとも市の制度を受け入れるべきか。

ここで迷います。

これが重要です、相手に迷わせること。

そして、相手はまた損得で判断し始めますよね。でも、その結論がどうであれ、市にはクレームは来ない。来ないかどうかはわかりませんけど、迷わせれば、自分の決断で決めることになるので、市へ向いていた矛先は、いくらかずれることになります。

具体的な方法としてはお金

所沢市はどうすべきだったか。具体的に言えば、お金で解決できたんじゃないでしょうか。

育休退園の例外として、お金を何倍か出せば、退園しなくていいとか。育休後に保育園に戻ることを保証するけど、高額なお金をもらいます。それで解決です。

実際には育休後に子どもを預けたいのは親が働くからですよね。その分の収入と普通よりも高い保育料を比べて得だと思えばやればいいってことになりますね。得じゃない気がするなら、育休退園を受け入れるしかない。

高いお金を取るにもかかわらず、多くの人がそうするなら、市だって保育園を拡張できるでしょう。できないなら、できるぐらいのお金を要求すればいいんですから。

お金のことを出すと、生々しくて汚いような気がするかもしれません。嫌に思う人もいるかもしれませんが、世の中の価値を図るものはお金です。育休退園の価値もお金で測れば良かったんですよ。

日本は資本主義なんですから。

これが市場の原理。

市場の原理が弱いのはなぜ?

このブログでも何度か書いていますが、幼稚園や保育園も含めて、このへんのこと(幼児期の子どもに関すること)になると全く市場の原理が働いていないと思うんです。

なぜか避けようとしている。

避けるなら避けるで、義務教育にしてしまえばいいと思います。3歳からの義務教育に。そしたら、こんな育休退園の問題なんか起こりません。そうも行かないなら、市場の原理を取り入れるしかないでしょう。そうなっていないから、所沢市の問題も起こるし、待機児童の問題も起こるんですよね。

まとめ

幼稚園や保育園でも親からのクレームが起こりうると思います。その多くは損得から生じています。ルールをがっちり作るのではなく、抜け道を作ることで、クレームの発生を抑えることができると思います。損得はあって当たり前です。どうやろうと損していると思う人は必ずいます。ですから、公平にすることに悩むよりも、損得の感情をうまくコントロールすることに時間を割くべきだと思います。

参考記事
平等に扱うからクレームが来る。幼稚園のクレーム親をなくす方法。

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