トヨタ、伊勢丹、東京建物、幼児教育の観点で3社の共通点とは。
2020.05.18
トヨタ、伊勢丹、東京建物の共通点
トヨタ、伊勢丹、東京建物、この3社の共通点は何でしょうか?幼児教育に関する共通点です。
トヨタは自動車メーカー、伊勢丹は百貨店、東京建物はマンションなどの住宅の販売ですね。新聞好きな人でもわからないかもしれません。わかったらスゴイです!最近の話題となったニュースに関連があります。トヨタ、伊勢丹、東京建物、3社それぞれのある取り組みにヒントがあります。
正解は?
正解は3社とも幼稚園や保育園児に関連するプロジェクトが行われていることです。その取り組みを簡単に紹介します。そして、幼児教育の観点からそれぞれの取り組みの意味を考えたいと思います。
トヨタの交通安全教室
自動車メーカーのトヨタ自動車が交通安全教室をやっているんですね。幼児向けに。保育園、幼稚園、こども園、託児所など、2015年は5月から10月にかけて、104園で交通安全教室をやるそうです。私は知らなかったんですが、トヨタは1975年からずっと40年もやってるそうです。すごいですよね。
交通安全教室の内容も楽しそうですよ。交通に関連した音当てクイズや安全をテーマにした劇、横断の練習など。楽しく交通ルールを学ぶことがねらいのようです。
交通安全に特化していることが素晴らしいと思います。見たわけじゃないので、内容はわからないんですけど、たぶん、交通安全のテーマに絞っているんだと思います。トヨタは、世界に誇る日本の自動車メーカーですからね。子ども達の自動車への関心を高めるような企画が普通の考え方だと思うんですよね。そして、それを見た子ども達が家で家族に車の話をして購買意欲につなげる。
でも、もし交通安全教室と一緒に自動車のことも教えてくれるような教室だったら、一見良いように見えますけど、終わった後に交通安全のことは子どもの頭には残っていないと思います。目的が明確な素晴らしい企画です。
伊勢丹の「cocoiku」プロジェクト
伊勢丹の「cocoiku(ココイク)」というプロジェクトがあります。子ども達にクリエイティブな学びの場を提供するプロジェクトだそうです。このプロジェクトでは教育のプロではなくて、クリエイターが先生になって、プログラムとか建築とか、本物のクリエイティブの世界に触れる機会を提供することがねらいのようです。これもおもしろい企画ですね。
こういったプロの講師による教育を実現させるのは、なかなか幼稚園や保育園が主体となっても難しいと思います。もちろん家庭でも実現は無理ですよね。ビジネスとしての一面はあると思いますが、民間の企業の力がないと難しいと思うんですね。しかも、教育が本業ではない伊勢丹という百貨店が主体となって進めている点が興味深いところ。親としては、そんなに金額の負担もなく、経験させることができます。
東京建物が保育園とお年寄りのふれあいの場
東京建物が「認可保育園を併設したサービス付き高齢者向け住宅」を作りました。サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と略されるようですね。1階には保育園があって、2階の屋上のようになっているところで稲や野菜などを育てるそうです。都会の子ども達は、野菜を育てて、収穫するような経験もなかなか作れません。きっと楽しめると思います。
それだけではないんですね。さらにそこは高齢者住宅が併設なので、お年寄りと触れ合える機会があるんですね。おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に野菜を育てるそうですよ。
おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいる子って、他のお年寄りにもやさしかったりします。核家族が増えているので、お年寄りと触れ合う機会が減っている子ども達。すごく今後も期待できる取り組みだと思っています。
3社の取り組みから見えること
幼児との関わりがある3社の取り組み。その点では共通していますが、それぞれに見ると目的や意味が違います。この3社の取り組みは、3つを合わせて考えると、とても興味深いんですね。
トヨタの交通安全教室は、子ども達にルールを教えることですよね。ルールそれからマナーは幼児だけでなく大人であっても、それは最低限必要なこと。3社の取り組みでも最も基盤になるのはトヨタの交通安全教室です。大きなケガや時には命を落とすことにもつながりかねません。ルールはしっかり子どもに教えなければいけません。
ルールやマナーは知っていて当然。でも、ルールだけではいけないときもあるのではないでしょうか。伊勢丹では、本物のクリエイターとの接点を作っています。どちらかと言えば、幼稚園や保育園で経験する既成概念を壊すようなところまで踏み込むのではないかと思います。今までのやり方を無視することが大事なときもあります。そこから、新しい表現の仕方や発想が生まれてくるんだと思います。子ども達には本来自由な発想があるものです。幼稚園の先生の価値観でレールを敷くのではなく、子どもの自由な発想を伸ばす工夫が必要なのかもしれません。
豊かな発想から、もっと大きなもの、もっと高度なものへの欲求が生まれてきます。東京建物の高齢者住宅は、幼児と高齢者がともに野菜作りを体験することができます。1人では難しい、または同年代の人たちでは難しいことも、他の年代の人と協力することで、知識や経験が得られる。そんなことを学ぶチャンスではないでしょうか。
園外でさらに高度に体験できる
子ども達は、最初は何もわかりません。ですから、幼稚園でもルールを教えることは大切なことです。幼稚園では他の子と一緒に遊ぶ機会が多くなります。その中で人間関係のルールを学んでいくんですね。でも、ルールだけじゃいけないんだと思います。絵を描いたり、工作したりする中で、規定のルールにとらわれずに自分を表現できることも大事なのではないかと思います。保育する側から言えば、表現においては何が正しいかと子どもに伝え過ぎてはいけない気がするんですよね。さらに、表現するのにも、1人ではできないことが出てきます。そのときにはお友達や先生と協力することで、自分が思い描く表現にもっと近づけることができます。
こういったことは幼稚園でも、様々な活動を通して、子どもに教えているのではないかと思います。トヨタ、伊勢丹、東京建物の3社の取り組みは、これらの子ども達の学びを園外にまで広げ、さらに高度に体験することのできる機会ではないかと思いました。
3社の企業の取り組みを見ていると、未来をイメージしやすくなります。なんか明るい未来につながっているような気がします。子ども達を育むのは民間企業の力も含めた、社会全体なんだなと思います。