子どもの成長が気になるバス通園の保護者もフォローする秘策。
2020.05.18
毎日が成長の積み重ね
幼稚園の園児達は日々成長しています。親戚のおばちゃんみたいに、久々に会った方が成長の大きさを感じるもので、毎日子どもと接していると、その子の成長って見えにくいものなんですよね。親も先生も子どもの成長を感じにくいと思います。それは成長が毎日のちょっとずつの成長の積み重ねによるからです。
成長を把握するのは大切なこと
園児の保護者にとっては、やはり子どもの成長が感じられるのはうれしいことです。先生から、自分の気づいていなかった子どもの成長を教えてもらったりすると、うれしいものなんですね。そんな話が聞きたくて、少し家が遠くても園まで送り迎えをする親もいるのではないかと思います。成長を聞きたいのはバスで通園する子の保護者も同じなんですよね。
1人1人の子どもの成長をきちんと把握することは先生にとって、とても大切なことです。親に成長を伝えるためにはもちろんですが、先生自身のためにも大事なことだと思います。それは、先生の成長にもつながるからです。
子どもが入園したり、進級したりしてから何か月かが過ぎた頃、入園時や進級時を思い出してみることってありますか?毎日が忙しい仕事に追われていると、そんな機会もないかもしれませんね。でも、そういった時間を作るのは必要なことだと思います。
入園時や進級時から、いろんな形で成長していることども達。きっと、子ども達は何かしらの成長を遂げてきていると思います。幼児期の子どもですから当然ですね。先生はその成長を把握できているでしょうか。
どの子がどんな成長をしたでしょうか?
そして、その成長はどんなことがきっかけとなって成長することができたのでしょうか?
成長したところとともに成長のきっかけを把握できていることが大切です。もちろん、きっかけは1つではなく、いろんな要素があって成長していると思いますが、印象に残る瞬間が先生の記憶の中にあるのではないかと思います。
このことは、その子の次の成長のために重要なことです。次に先生がどんな援助をしていったらいいのか、それは保育の専門書にも書いてありません。その子の成長の跡から考えていくしかないんだと思います。良い所をもっと伸ばすためにも、次の成長につなげるためにも、成長を振り返ることが大切だと思うんです。
保育記録で振り返る?
幼稚園の先生が大変だと思う仕事の1つが保育記録ではないでしょうか。私も毎週1人1人について記録して園長に提出していました。1人につき数行ずつ書くのでけっこうな時間がかかるんですよね。私の園では、1年もすると相当な厚さになる記録でしたが、他の幼稚園でもやっているんでしょうかね。だとすると、そこには成長の記録がつづられると思います。
ですが、私はこの記録を書くことがあまり好きではありませんでした。ただ、つらかった思い出しかありません。保育記録って誰が読むんでしょうか…。園長先生は見ているみたいだったけど、全部読んでるわけもなく、ほとんどが無駄な作業だという感覚でいました。きれいごとを言ってもしょうがないので、あえて無駄だと言いたいと思います。
それよりも、私が子どもの成長を振り返るのに役に立ったなと思うのは、保護者とのメモや手紙のやりとりなんです。幼稚園の先生におすすめしたいのが、このメモや手紙のやりとりです。
保護者とのメモや手紙のやりとり
保護者からおたより帳にはさんだりして、メモが届きます。もちろん、毎日ではなく、必要なときだけ、必要なことが届きます。だから数行の簡単なもの。内容は「今日は熱があるのでプールはお休みします」とか、年少クラスだと、「パンツをはかせましたのでトイレお願いします」とか。たいした内容ではないんですけど、時々、家のことなんかも書き加えられたりします。家でこんなことを言っていたとか、最近○○の歌が好きで歌っているとか、子どものエピソードが添えられることがあります。私もその内容に対して返事を書いて、おたより帳にはさみます。
この保護者からの小さなメモや手紙が1枚、また1枚と増えていくんですね。捨てるわけにもいかない気がして、取っておくんですが、だんだんたまってきます。それで、ノートに貼ることにしました。ページごとに名前を書いて、メモをのりで貼って行きます。ちょっと時間の空いたときなどに、そのノートを見返すと、それは成長記録そのものなんですね。
私はまず入園時や進級時に保護者の前で説明しました。決して強制的ではありません。伝えたいことや、何か気づいたことなど、何でも良いのでお手紙を書いてくださいねと言いました。保護者の中にはノートを作って、交換日記のようにするお母さんもいました。(この場合は私としては自分のノートに残らないのでコピーして貼り付けていました。)あと、大事なことは、苦しくならないようにすることです。忙しいこともあるわけですから、その日に返事を書くことができない場合もありますと伝えておきました。でも、すべてに返事は書いていました。
先生から何も言わなければ、たぶんやらないことなんですね。でも、こうすることで、いろんな良いことがあったんです。
メモや手紙のいいところ
1つはバスで通園する園児の保護者のフォローがしやすくなったことです。毎日園に来てくれる保護者とはお話しすることができます。子どもの成長を伝えたり、聞いたりすることができます。でも、毎日園まで送り迎えする保護者ばかりではありませんよね。
バスで来る子も多いのですが、その保護者とはなかなか会うこともできず、お話する機会がありません。でも手紙をやりとりすることで、少しではあるけれど、園での子どもの様子を伝えることもできるんですね。本当はバスで通う子のお母さんも園での様子を聞きたいんです。ですから、どちらかと言えば、手紙をくれるのはバスの子のお母さんが多いんです。
メモや手紙のいいところは仕事だとしても保育記録とちがって楽しいんですね。園長に提出する保育記録は、事務的なもので、やることに意味があるような感じです。だから、私にとっては書く作業だったなと思います。でも、保護者に向けて書く手紙は作業というと失礼かもしれないんですが、伝える作業だったんです。この書くだけなのか、伝えるものなのかは大きな差があるんですね。伝えることが目的だと、その子の成長をより丁寧に考えるものなんです。先生が書いた手紙を読まない親は絶対にいません。これだけは確実です。保育記録は誰にも読まれないかもしれませんが、手紙は読まれる。だったら、読まれることに力を入れた方がいい。楽しいし、それが保護者を喜ばせるだけでなく、先生自身のためにもなるんですから。
先生の成長につながる
子どもの成長を考え、どんな成長があったかだけではなく、どんなことをきっかけに変わったのか、そこまで考えて親に伝えること。これは親が喜ぶだけでなく、先生自身の成長にもつながると思うんです。
子どもの行動は、1つの観点だけでは誤って認識してしまうことがあります。いろんな子のいろんな成長を見ながら、経験を積んでいくと、ある子どもの成長のためにどんな援助が必要かが見えてくる。それは経験がものを言うと思います。ただ、ベテランになればそれなりに身に付くものではないと思います。日々の仕事の中で、子どもの成長をしっかり見つめながら、考えながら過ごしていないと、経験は次に活かせないのではないかと思います。
ぜひ、形だけの保育記録にかけている時間を親との情報交換に使ってみてください。メモや手紙の内容は些細なことが多いかもしれません。でも、その中に大きなヒントや役に立つことが隠れているものです。ただの体調の報告だったとしても、そのメモを後になって見返すと、その頃のその子の様子が浮かぶものなんですね。それだけでも、その子の成長を感じる機会を作ってくれます。
手紙の返事を書くのは、時間がかかりますが、決して無駄な作業ではありません。楽しい作業です。
まとめ
保護者とのメモや手紙のやりとりは、親にとってもうれしいこと。とくにバス通園の園児の保護者のフォローにとても有効。また、先生の成長にもつながっていく。ノートに貼って行くことで、子ども達の成長を振り返ることができる。
ぜひ、保護者とのメモや手紙のやりとりを始めてみてくださいね。もうやっているなら、ノートに貼って行くのがおすすめです。きっと、普段の子どもの見方や親との会話も変わって来ると思いますよ。