先生が奴隷のように働いている幼稚園が目指している方針。

  2020.05.18

幼稚園・保育園

幼稚園の方針は?

園長の方針にもとづいて先生方が一生懸命努力している幼稚園が多いと思います。方針は大事ですよね。先生の働き方は幼稚園の園長の方針に大きく左右されます。幼稚園はみんな同じではありません。いろんな幼稚園があります。先生の働き方も幼稚園によって違います。和気あいあいと楽しく働ける幼稚園もあれば、奴隷のように働かされる幼稚園もあります。奴隷のように働く幼稚園は先生も長続きしないのは当然ですよね。そんな幼稚園の特徴は、園内でノウハウを共有しないことなんです。

ノウハウの共有とは何か

ノウハウを共有とは、どういうことでしょうか。例えばこんなことです。良いやり方をある先生が思いついたとします。それは新しいアイディアであって、本当に良いものかどうかわかりません。そのアイディアを園児に対して実践してみました。期待通りの効果を得ることができました。隣のクラスの先生にも教えてあげます。そしたら隣のクラスの園児にも効果がありました。他の学年にも広め、幼稚園全体で良い方法を取り入れることにする。これがノウハウの共有です。横にノウハウを共有することです。思いついた先生は、次の年の担任となったクラスでも取り入れました。これは縦のノウハウの共有です。

すごく良い方法だとしたら、今後ずっと園内では使われていくでしょう。さらに、他の幼稚園にも取り入れられるかもしれません。こうして、良いものであれば、どんどん広めていくという考え方がノウハウを共有することなんです。

ノウハウの共有を悪とする考え方

これとは反対の考え方があります。つまり、ノウハウの共有を悪とする考え方です。その方針に基づく幼稚園では、すべてにおいて先生自身のオリジナルを求めます。自分の頭で考えなければならず、手作りしなければならないのです。他の先生がやっていることが、どんなに良い事でもまねすることはタブーなのです。先生は考えなければいけません。情報収集もしなければいけません。大変ではありますが、考える力が養われ、先生個人が成長しやすい幼稚園です。

ただし、この考え方には大きな欠点があることを否定できません。

なぜ、まねされるとおもしろくないのか

一見、良いように思えますが、ノウハウの共有を悪とする考え方には欠点があります。それは、ある視点が欠けているから引き起こされるのです。幼稚園を組織として見る視点です。あまりにも個人主義に走り過ぎているのではないかと思います。もともと幼稚園は組織的な動きが苦手なんですね。もし、ノウハウを共有することで誰かが損をするかと言えばしないのです。

自分のアイディアを他の人に真似されるのはおもしろくないと思うかもしれません。せっかく苦労して考え出したアイディアを他の人が取ってしまう。たしかに、気分の良い事ではないかもしれませんね。でも、なぜ、気分が良くないのかを考えてみてください。アイディアを盗まれるから気分が悪いのです。それはルール違反。

反則行為で相手が得をするから、おもしろくない。

では、ルール違反でなければどうでしょうか。自分のアイディアを評価して、良いものとして取り入れてくれたのです。光栄なことではないでしょうか。まねをしてはいけないといったルールがなければ、アイディアは盗まれることがありません。盗むのではなく、広まっていくものになります。ノウハウを共有するとも言えます。幼稚園には明確にルールを定めていなくても、暗黙のうちにルールとなっていることがあります。そのルールは自然にはなくなりません。ルールを取り去る方法はただ1つ。良いことをまねすることは良い事だから、もっとまねをさせるようにルールを作ります。もちろん、「まね」と言わずに「共有」と言った方が良いですね。

個人の考える力はどうなる

まねすることで失われるものもあると懸念する人もいるでしょう。それは、個人の考える力です。優秀な先生が1人いれば、他の先生はその先生をまねするだけになってしまいます。やがて優秀な先生が去ってしまったら、どうなってしまうのか、経営の面から言うと不安です。でも幼稚園の先生をなめてはいけません。まねすると言っても、本当にそのままやる先生はいないのです。何か自分のアイディアをプラスするものなのです。

それよりも、先生方の退職率を心配するべきではないかと思います。広くノウハウを共有すると、個人から組織に変わって行きます。個人がやめるなら、入れ替えれば良いのですが、組織の一員がやめるとなると損失はもっと大きいものになります。ですから、できるだけ退職率を下げていかなければならないのです。これもノウハウの共有が進み、組織化されれば、自然と全体に対する責任感も生まれ、簡単に退職する人は少なくなるものです。さらに、奴隷のように働かなくてもよくなるから退職は減ります。個人に考えさせるよりも、ノウハウを共有させた方が、組織的に強くなるわけです。

1人の力には限界がある

まだ個人の考える力を重視し、共有を妨げますか?個人の考える力は限られています。いくら天才と言われる人でも、1人の力には限界があります。ノウハウを共有しないということは、全員が毎回ゼロからの出発です。

ブロックを積み上げることに例えるならば、何もないところに1つブロックを置く作業です。その1つのブロックをどれだけ高いものにできるかなんですね。でも、誰かのノウハウを生かすならば、すでにブロックは1つあるわけで、その上に新たにブロックを積み上げます。1つのブロックを大きくすることは難しいのです。小さなブロックを積み上げることは、それほど難しくありません。同じ高さに到達し、何個ものブロックが積まれれば、もっと高い所を目指せます。それは横の共有だけでなく、縦の共有でも同じことです。幼稚園の歴史が長くなればなるほど、高い所を目指せるようになるのです。原始時代にものすごく頭の良い人がいたとしても、できることは限られていますよね。

幼稚園の園児はどんどん入れ替わるから、今までは個人に考えさせるだけでも良かったのです。でも、幼稚園を取り巻く環境は変わりつつあります。組織的な強さを持って、より高いレベルを目指さなければいけません。先生が退職するだけでなく、幼稚園自体が淘汰される時代が来ます。乗り越えるにはノウハウを共有する方針に思い切って転換することなんですね。そんなに難しくはないはずです。

まずは集める作業から

個人での競争のようになっていた幼稚園の方針を思い切って変えてみませんか?ノウハウを共有することで幼稚園の未来は明るくなります。より高い幼児教育を目指せます。退職者も減ります。奴隷のように働かなくても良いのです。これまでノウハウの共有が図られていなかった幼稚園があったら、すぐにでも動き出してください。先生方で話し合ってください。散らばっている良いものをどんどん集めてみてください。さらに、過去にもさかのぼって、良いものを見つけてどんどん共有してください。きっと、誰も目を向けていなかった宝が見つかるはずです。その宝をもっと磨いていけばさらに光り輝くものとなります。

幼稚園は個人競技ではありません。1つのチームです。

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