笑顔の大切さを知った瞬間。笑顔はいつの間にか誰かを助けている。

  2020.05.15

幼稚園・保育園

笑顔の大切さを知った瞬間。笑顔はいつの間にか誰かを助けている。

笑顔の大切さ

「笑顔で人に接することが大切だ」と、誰もがどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。笑顔でいると何が良いのでしょうか。私もよくわかりませんでした。でもある事がきっかけとなって、笑顔は大事なんだなって思うようになりました。自分の思いがけないところで人を助けていたりするんです。

幼稚園で働いていた頃

私が幼稚園で働いていたときのことです。私は年少のクラス、つまり3歳の子どものクラスの担任でした。年少というのは、幼稚園の中では一番小さい子ども達が集まっているクラス。はじめて親から離れて幼稚園に通う子ばかりです。だから最初はみんな泣いてしまいます。お母さんにとっても子どもと離れる経験ははじめてなので、お母さんだって不安を持っています。

担任の私は、子ども達を朝、保育室で迎えます。朝、幼稚園に来た子どもは、お母さんから離れようとしません。お母さんと別れるのがつらくて泣いている子を無理やり引き剥がすようにして、保育室の中に入れるのが先生の仕事です。

まだ幼稚園で働き始めたばかりの新米先生だった私。幼稚園のことなんかほとんど何もわからずに、わからないからこそ、それはそれで一生懸命やっていました。朝、子どもを受け入れるときも、どちらかと言うと、子どもや親の心境なんか考える余裕もなかったと思います。とにかく、無事に一日の仕事を終えること。それが新人の私にとっては大切でした。

子どもとの別れ際に心配そうに見ているお母さん。でも、正直私にとっては、子どもがいつまでも名残惜しいので、早く帰って欲しいのになんて思いながら、子どもを受け入れていました。

毎朝泣きつづけた子

入園してすぐは泣いていた年少のクラスの子も、やがて慣れてきます。朝のお母さんとのお別れにも慣れてくるものです。泣いていた子が笑顔で保育室にやって来る日が来ます。いつそうなるかは子どもによって個人差があります。

子ども達は先生に笑って「おはよう」と言えるようになりました。その頃にはお母さんも最初の不安から少し解放されます。同時に、私も楽になってきます。泣いている子は先生が、しばらく抱っこしなければいけませんから大変なんです。その負担が少なくなります。

そんな中、なかなか慣れない子が1人だけいました。その子は両親が忙しく、おばあちゃんに送り迎えをされていました。最初は他の子と同じように幼稚園に来るたびに泣いていましたが、他の子と違うところがありました。慣れるのに時間がかかったのです。他の子が泣かなくなっても、毎朝泣き続けました。必ず泣いて、私がおばあちゃんから引き剥がす毎日が繰り返されました。

送ってくるおばあちゃんも大変そうでした。おばあちゃんは申し訳なさそうにしていましたが。大丈夫ですよと声をかけていました。夏休みになるまで、その子だけは毎日泣いていました。

最後に言われたこと

やがて、その子も泣かなくなりました。そして年少のクラスも終わりの日。1年間が終わる、終業式の日になりました。年少から年中になると、クラス替えもありますし、担任も変わります。ですから、子ども達と担任はお別れなのです。

そこで私は、泣き続けた子のおばあちゃんから、感謝されました。毎日泣いていた子どもを先生はいつも笑顔で受け入れてくれて、本当にありがたかった。とても助けられた。感謝でいっぱいですと言うのです。

私は感謝されたうれしいというよりは、驚きでした。私にとっては、新人でクラスの担任になって、忙しい毎日で、人のことを考える余裕なんかまったくなかった1年だったのに、それなのに感謝されたのです。それは思いがけないことでした。

そして申し訳なかったと思いました。毎朝泣いている子、そしてその子を送ってくるおばあちゃんに、もっとできることがあったのではないかと思いました。少なくとも、もっと優しい言葉をかけることができたのではないかと思いました。

何もしてあげられませんでした。でも、私がいつの間にか、無意識のうちに笑顔になっていたことが救いでした。自分では笑顔にしようと努力していたつもりなんか全然なかったけど、なってたんですね。

おばあちゃんに感謝されたことで、私は笑顔の大切さを知りました。笑顔であることに何も言葉はいりません。でも人を助けることがあるんだなって思いました。逆に言葉がないからこそ、また、無意識で出る笑顔ほど、人を助けられるのかもしれません。私はそのとき笑顔を大切にしていきたいと思ったのです。

笑顔は人を助けるもの

最近、笑顔ですか?

幼稚園の先生だけでなく、どんな人でも、どんな場面でもやっぱり笑顔は大事なんだと思います。

でも、笑顔になれないときって、誰でもあるのではないでしょうか。大きなストレスを抱えていたり、不安の中で過ごす日々に笑顔はなかなか生まれません。ストレスがあるなら、そのストレスを取り除き、不安があるなら、その不安を取り除き、自然な笑顔のあふれる毎日にしたいですね。その笑顔は自分の気持ちを明るくするだけでなく、思いがけない形で、他の人を助けたり、幸せにしたりしているものなんです。

人助けなんて言うと、大げさなことを想像してしまいますが、何もなくても簡単にできる人助けが笑顔なのではないでしょうか。たくさんの笑顔があふれる世界は、いろんな人がいろんな人を幸せにする世界。そんな世界は素敵です。

今日もあなたの自然な笑顔が、きっと誰かの心に届いています。

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